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2009年10月27日

さっぽろオータムフェストで考えた

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sapporo autumnfest2009

10月初め、北海道札幌市で開催された「さっぽろオータムフェスト2009」に行ってきた。

北海道最大の都市である札幌は、道産品のテストマーケティング的な場所であり、地産地消を促す場所でもあるので、札幌ではこうしたイベントは多く開催されている。傍から見れば、自治体の公共事業は土建などを主体とするハードウェア産業からイベント開催などのソフトウェア産業に力を入れているようにも見えるが、こうした事業転換自体はわるいことではない。

さっぽろオータムフェストでは、道内の食材を使った料理販売や産直品販売などが行われていて、その内容もサービスも概ね評価できるものであった。


北海道の観光産業を揶揄する言葉として、以前からこういう言葉がある。


「北海道の観光産業、自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービス四流、関係者の意識は五流」


「さっぽろオータムフェスト」のような札幌市や観光協会が主催するイベントは、出店する店舗・自治体のPRも兼ねているので、劣悪なサービス対応をすれば、利用者からのクレームだけでなく主催者側からもイベント全体のイメージダウンを招いたとして厳しい評価を下される。その結果として二度と出店を認めてもらえない事態にもなりうる。

なので、「さっぽろオータムフェスト」のような大規模なイベントでは、劣悪なサービス品質に遭遇することはまずない。また、最近新規に開店された店舗でも、しっかりとした従業員教育がなされているためか、こうした事態に遭遇することもほとんどない。

しかし、昔ながらの店舗、例えば市場や土産店、宿泊施設、交通機関などではあいかわらず「サービス四流、関係者の意識は五流」と言わざるを得ない接客に出くわすことがある。



「さっぽろオータムフェスト」に行った旅行期間中、SLに乗ってJRでニセコに行ったのだが、小樽で機関車付け替えのための40分超の停車時間のあいだ、途中下車して小樽駅周辺を散策した。
駅から徒歩1分の「三角市場」なる観光客向けの主に海産物を取り扱う店舗が軒を連ねる市場に立ち寄ったのだが、まさに「サービス四流、関係者の意識は五流」であった。具体的に言うと市場内を歩いていると「なんか探してるのないの?」と責め立てるような口調で声を掛けられ、店舗前を通り過ぎざまに至近距離にいた店員がそばにある何かをわざと大きな音をたてて叩いて嫌がらせをする。たぶん、何らかの形で「サービス四流」な対応をしてくるだろうと思っていたら、ホントにそれをやられてしまって失笑したものだ。市場に人は次から次にやってくるのだし、買わない客は客じゃないと店舗側が考えているのかどうかは知らない。

また、新千歳空港内の土産店では、北菓楼という菓子メーカーの「開拓おかき」というお菓子の期間限定「北海シマエビ味」販売開始のPOPが山積みされた商品横に掲示されていたので、いつかは入手困難なこのお菓子を食べたいと思っていた私は、喜んで商品を手にとってみたら「増毛甘えび味」だった。同じような商品ディスプレイをしている店舗が新千歳空港内に他にも1店。誤認されやすい商品陳列というよりは、もうこれは確信犯的な行為だ。

昨年1月にこの件に関してこのブログで論じたときは、

「豊富な自然環境と食材などの素材の良さにあぐらをかいて、接客などのサービスは全くダメというのがその評価の主なポイントである。」ということを書いた。

北海道の観光産業、自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービス四流、関係者の意識は五流

しかし、ここ数年、何度も北海道を訪れてきたなかで、「素材の良さにあぐらをかいて」いることがサービス品質が劣悪な理由なのではないという思いに至った。
このサービス品質がよくない本当の理由は道民性、道民気質に起因する。よく北海道に住む人たちは「おおらか」と言われる。しかし、その「おおらかさ」が悪い影響を及ぼしているのだという結論に達した。人間の心の部分が最も影響しているのだ。

Googleで検索すれば、その論拠を示したブログやポータルサイトなどを多く見ることができる。なのでこれは自分だけが感じていることではない。さらに、これは北海道観光産業にだけ言えることではなく、その他の日常生活などの部分でも言えると述べられているところが興味深い。
検索結果

北海道庁の観光局の公式サイトでも、これについて以下のように述べられている。但し、個人的には文中の『「おおらかさ」が「シャイ」とも見られる』というのはありえないと思っている。
道では、昭和60年から「北海道ホスピタリティ運動の推進要綱」を策定し、観光ホスピタリティの向上に取り組んできましたが、道民気質として、「おおらか」と言われることが、一方では「シャイ」、「無頓着」とも見られるため、観光客をあたたかく迎える「おもてなしの心」が旅行者に伝わりづらいと考えられます。

※ 観光ホスピタリティ不足?! 〜 自然は一流、サービスは…。との評価を受けています。
北海道庁 北海道観光ホスピタリティ−観光から見たホスピタリティとは…?

今年8月中旬に日経新聞の北海道版に掲載された記事でも、同様のことが述べられている。
 道内観光業界では「北海道は自然は一流だが、サービス精神が今ひとつ」と反省する声が多い。こうした傾向は、今回の調査でも浮き彫りとなった。「開放的」は沖縄が40.9%なのに対し、北海道は20.1%。「人情が厚い」は沖縄が22.6%で、北海道は10.6%だった。総じて「遊ぶ」では沖縄の方がポイントが高い。
 リクルートがまとめた09年の「じゃらん宿泊旅行調査」では「地元の人のホスピタリティーを感じた」の1位は沖縄で、北海道は26位だった。
(1)観光 「食」沖縄引き離す 「もてなし」が課題 NIKKEI NET 北海道版


誤解しないでいただきたいが、北海道に住む人たちを決して悪く言うつもりはない。基本的にはいい人が多いと思う。ただ、時折、よくない意味での「おおらかさ」が出てしまっていることがとても残念でならない。

旅行業務取扱管理者(旧旅行業務取扱主任者)という国家資格を持ち、現在も旅行業に関与しているので、事情はよく知ってるが、北海道へ訪れる日本人観光客は年々減少している。Web上にデータはないのでソースを提示できないが、先月に読売新聞が公表した「行ってよかった国内の旅行先」として北海道はランキングに入っていない。グルメ、自然、エンターテインメント、アウトドアなど、すべてのカテゴリーにおいて北海道はランクインしていない。ランクインしているのは内地(北海道以外)ばかりだ。北海道は内地の都道府県の5倍以上の面積を持ち、これだけ豊かな観光資源を抱えているにもかかわらずだ。北海道へ旅行するリピーターが育っていないのである。



JALは経営再建策として、国内就航路線の廃止を打ち出した。
日本航空:関空、国際線半数以下 廃止50路線の全容判明
そのなかで内地と北海道を結ぶ廃止路線は以下のとおりだ。

・関空−女満別
・関空−帯広
・関空−釧路
・関空−旭川
・中部−釧路
・神戸−新千歳
・静岡(今年開港したばかりの空港)−新千歳
・松本−新千歳

そして私がよく利用する福岡と新千歳を結ぶJAL路線は不採算路線となっている。
以前は福岡と函館、釧路、新千歳を結ぶ便が就航されていたが、現在は新千歳とを結ぶ路線のみ就航し、オフシーズンは1日1便しか運行されていない。そのうち、団体ツアーのチャーター便かオンシーズンのみの就航になってしまうのではないかと危惧をしている。路線廃止となる要因は、不況による収益悪化以外にもリピーター客がいないことも要因だと個人的には判断している。

豊かな観光資源を持ちながらもリピーターが減少し、人気ランキング入りしない理由は、北海道に憧れをもって旅行に行ったものの、その劣悪なサービス品質を目の当たりにして「北海道とはこんなものなのか」と幻滅してしまっていることが理由のひとつだ。必ずしも不況だけが要因ではない。その結果のひとつとしてJALが路線廃止を検討した。そして、内地の人たちは地元のデパートで開催される北海道物産展や東京・有楽町あたりのアンテナショップで道産品を買うにとどめ、現地への旅行には行かなくなっているのだ。

内地で行われる催事である北海道物産展は盛況だが北海道への旅行者は少ないという現状は、道産品さえ手に入ればそれで満足という人が多いということである。インターネットが発達した現在なら、わざわざ現地に行かなくても通販でモノは手に入る。わざわざ現地に行くのはその場所の空気感や景観、人とのふれ合いを自分の体で感じるためだが、理想と現実のあまりの差に落胆している人が多いということにほかならない。



私はこの記事のように批判を書いたり、文句を言ったりしているが、それはよくなって欲しいからであって、もう二度と北海道には行かない、現地の人にも会わないと言うのであれば、何も語らずその場から消える。

クレーマーという類の人は別として、店舗にクレームをつける人というのは、その店舗を今後も利用するからその店舗に対応を改めて欲しいという意味で行動している。逆にその店舗をもう二度と利用しないと決めた人は何もいわずに立ち去る。

店舗にとってクレームとは、顧客にとって真に便利な店舗に進化するきっかけとなる財産だ。店舗にとってクレームは貴重な意見であり、クレームをつけられて対応を改善すると、そのクレームを付けた人というのはその店舗のコアなファンになってくれるありがたい存在である。

それと同じことである。人気観光地ランキングにも入らず、リピーターが減少し、不採算を理由として内地からの就航路線の廃止が検討され、内地の北海道物産展に足を運ぶだけで満足している人がいるのは、何も言わず北海道にはもう行かないと決めた旅行者が存在しているということの証明でもある。


現在の北海道の観光産業は内地からの日本人旅行客の減少をカバーするために中国・台湾からの観光客に依存しているといってよい状態だが、そのうち外国人観光客が団体ツアー主体から個人旅行に移行してくると、北海道を旅行したことのある内地に住む日本人が抱く北海道に対する感情「自然は一流だがその他の部分は・・・」と同じものを抱くことになるのではないかと感じている。

こうした意見を疎ましいと思って逆切れして悪態をつくか、ありがたい言葉だと思ってよりよいものにしようと思うかは当事者次第だ。さらによい関係を築く機会になるのか、そうでなくなるのかはそれぞれがとる行動にかかっている。

「おおらかさ」のよくない面があだとなって、観光立国を目指す北海道の経済がさらに衰退してしまわないことを願う。



15年前から累計滞在日数200日以上、北海道内を旅してきた一人の北海道ファンからの、これは切なるお願いです。 
 




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posted by しん at 00:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | はてなブックマーク - さっぽろオータムフェストで考えた
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この記事へのコメント
はじめまして。北海道に住む者です。北海道の観光についてエントリーを書いてみました。
こちらへは「自然は一流、施設は二流、料理は三流、サービスは四流、関係者の意識は五流」で検索をかけたところ発見し、来ることができました。
もし宜しければ、拙いですがエントリーを読んでみてください。
突然のコメント失礼致しました。
Posted by nananaga at 2009年11月16日 05:32
nananagaさんのブログ記事を拝読させていただきました。
nananagaさんのような方が北海道在住であることを知り、まだまだ北海道も捨てたもんじゃない、明るい希望はあるのだと感じました。
Posted by しん at 2009年11月16日 19:56
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