
本日、映画館で鑑賞。
ミッキー・ローク復活を地で行くような映画。
ミッキー・ロークといえば、かつて「世紀の色男」と呼ばれた頃があった。日本ではサントリー・ウイスキーのCMに出演した頃を覚えている人もいるだろう。
しかし、その後、ミッキー・ロークは銀幕からほぼ姿を消し、出演したとしても脇役ばかりだった。そんなミッキーローク復活の物語を、かつては花型レスラーとして一世を風靡したことのある中年レスラー復活の物語とダブらせるような描き方をしたのが本作だ。
監督はこの作品の製作するにあたり、主役を絶対にミッキー・ロークにやらせたいと考えたそうだ。有名スターの起用を求めるスタジオと交渉につぐ交渉を重ね、予算を大幅に削ってまでミッキー・ロークの主演を死守した。
その結果、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞の主演男優賞の受賞、ヴェネチア映画祭で最高賞の金獅子賞の受賞、米国アカデミー賞ノミネートのほか、全世界で54冠に輝いた。
粗い画面とドキュメンタリータッチの描画が、まるでこの中年レスラーの生活を垣間見ている感覚に襲われる。
それがいつしか、一度は頂点に立ち、やがて落ちぶれた男の復活を応援したいというファン心理となって画面の中に引きずり込まれていく。
観客をそうさせる監督の演出もすごいが、ミッキー・ロークも演技もすごい。
プロレスラーが題材なので、激しい体と体のぶつかり合いがアクションだ。VFXなんてない。CGもない。飛び道具もない。
食事をした後で観賞していたら、きっとさっき食べたものを全部吐いていただろう、と思わせるような、血肉が飛び散るようなグロでリアルなファイト。
アクションだけではない、人生の悲哀を滲ませる渾身の演技。
演技ではない、これはパフォーマンスだ。
復活を賭けて全身全霊を込めたパフォーマンスだ。
このパフォーマンスが、観客の魂を激しく揺さぶる。
ラストでリングで必殺技"ラム・ジャム"を決めるミッキー・ロークに観客の誰もがこう叫ぶだろう。
「ミッキー・ローク、ここに復活せり」
そして、ミッキー・ロークはここに甦った。
■レスラー予告編
タグ:映画
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